『写真家 ソール・ライター展』―ソール・ライターの写真の魅力とは

ソールライター展 写真・カメラ
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ソールライター展

渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の写真展『写真家 ソール・ライター展』に行ってきました。

1950年代からファッションカメラマンとして活躍したものの1980年代に商業写真の世界から離れ、亡くなるまで自宅周辺の写真を撮りを続けたソール・ライター。

日本初の回顧展となる『ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展』では写真だけでなく、ライター自身が描いた絵画や手紙などを含め200点以上が展示されており、見ごたえのある展覧会となっていました。

一度だけでなく二度三度と訪れるリピーターも多いという『ソール・ライター展』
観る者を惹きつけてやまないソール・ライターの写真の魅力とは一体何なのか……作品集『All about Saul Leiter ソール・ライターのすべて』から彼の言葉を引用しながら考えてみます。

『写真家 ソール・ライター展』―ソール・ライターの写真の魅力とは

写真は特別な場所で撮らなくても良い

私が写真を取るのは自宅の周辺だ。
神秘的なことは馴染み深い場所で起きると思っている。
なにも、世界の裏側まで行く必要はないんだ。(P.35)

商業写真を除くと、ほとんど自宅周辺の写真を撮り続けていたソール・ライター。

朝目覚めると絵を描き、カメラを持って近所のカフェに出かける……そんな生活を送っていたそうです。

私たちは“素晴らしい写真”というと、旅行などどこか特別な場所に出かけないと撮れないものと思い込んでしまいがちです。
でも実は日常の中にもたくさんの被写体があるんだよー、ということをソール・ライターの写真は気づかせてくれました。

よく被写体を見る

重要なのは、どこで見たとか、何を見たかということではなく、どのように見たかということだ。(P.90)

ソール・ライターの写真は一見すると街の風景を切り取ったスナップショットのような印象を受けます。

しかしよく見てみると、ショーウィンドウに写り込んだ多重露光のような街の光景、雨粒に濡れた窓ガラス越しの風景、大部分を遮蔽物や影で覆いその隙間から見える大胆な構図など、被写体をよく観察していないと撮れないんじゃないかと思える写真が多いことに気づきます。

こんな撮り方もあるのかーと目からウロコがボロボロと落ちるとともに、私の写真の師匠も「撮る対象をよくLOOKする」と言っていたことがハラオチした気がしました。

写真家の使命

写真を見る人への写真家からの贈り物は、日常で見逃されている美を時々提示することだ。(P.104)

とっても個人的な見解なのですが、写真を撮る人というのは何か特別な視点を持ってるんじゃないかなーと思ってます。

私自身も街中で「何か面白いモノはないか」と探し、「どう見せたら面白いだろうか」を考えて写真を撮っているんですね。

面白いモノ、美しいモノは意外と日常風景の中にあるものです。
逆に普通にありすぎて気づかないのかもしれません。

ソール・ライターの写真にもそういうもの(雪景色の中の真っ赤な傘など)が数多くありました。

世の中にはこんなにも美しいもの、面白いものであふれているということは、写真を使えばたくさんの人に伝えることができます。
これはある意味“写真家の使命”的なモノなのかなーなんて思ったり。

まとめ

ソール・ライターのすべて

ソール・ライターの写真の魅力はたくさんあります。
「カラー写真のパイオニア」と呼ばれるほどの色彩感覚、浮世絵や禅に影響を受けた作風……などなど。

そんな中で個人的に感じたソール・ライターの魅力「親近感」なんじゃないかと思ったりしています。

いわゆる絶景とは程遠い、ごくごく普通の日常風景を“作品”として写真に収めている。
その辺りに何か親近感のようなものを覚えました。

いやー、何と言うかこういう写真が撮れたらステキですなー。
とても刺激を受ける写真展でした。

『ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展』は渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムで2017年6月25日(日)まで開催中。

少しでも写真に興味があるのであればオススメの写真展ですよ。

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