最近この手の本をよく読んでいるのですが、編集者・菅付雅信氏の『物欲なき世界』が面白かったのでご紹介。
雑誌『Kinfolk』の日本でのヒットを皮切りに、『ポパイ』『アンドプレミアム』の雑誌がいわゆる”ライフスタイル”をテーマにした特集を組むようになり、メディアでも「ポートランド」という地名をよく聞くようになった昨今。
高級品をたくさん所有するラグジュアリーな暮らしよりも、自分で選んだ自分だけの生活を大事にする人が増えてきています。
そんな”資本主義の基本原理”が崩れつつある時代をどう生きるか、そんなテーマの本です。
『物欲なき世界』by菅村雅信 ― モノよりコトにお金を使う時代をどう生きるか
モノをたくさん所有する時代は終わった
ちょっと前までは「いい会社に就職して、頑張って働いてお金を稼いで、マイホームや高級車を買って、もっともっと良い暮らしをする」というのが、割と一般的な”理想のライフスタイル”像でした。
しかし今は「高級品をたくさん所有するよりも、気に入った少数のモノを大切に使う」「日常のモノやコトにこだわった生活をする」というのが”理想のライフスタイル”像になりつつあります。
かつては経済的地位を象徴していたブランド品よりも、自分の日常を楽しくするホウキなどのアイテムに消費者の気持ちは向かっているんですね。
もはや「モノをたくさん所有する」という時代は終焉を迎えようとしているようです。
これからは”カスタムメイド”と”シェア”の時代
今後消費者の物欲が減少の一方をたどるであれば、どのような方法で「物欲なき世界」を生きていけば良いのでしょう?
ヒントは”カスタムメイド”と”シェア”にありそうです。
“カスタムメイド”は「人間は規格品ではない」という考えに基づいて、現在の大量生産・大量消費への疑問を持ち、消費者一人ひとりの好みに合わせたモノを作るという考え方。
顧客のオーダーがなければ生産しないということは、原材料や労働力を無駄に使う必要がなくなるということですな。
実際にブルックリンの街ではオーダーメイドのジーンズを作る店があるそうです。
また今後2014年までに衣食住のほか、旅行や娯楽など消費者の買うものすべてがカスタマイズされたものになるという意見もあるのだとか。
もう一つのヒント”シェア”は、最近よく耳にする「Uber」「メルカリ」「Airbnb」など、すでにあるものを共有して使うという考え方。
この2つの考え方が定着すれば、今後「物欲なき世界」は加速していくんじゃないかなーと。
うーん、何だかこのあたりにビジネスのヒントがありそうですねー。
まとめ
一時期話題になった「爆買い」なんかは、「物欲ありきの世界」の最たるものですね。
モノをたくさん所有することがステータスとなる社会では、今までの”資本主義の基本原則”にのっとったビジネスが有効だと思います。
しかし今の日本は、もうその次のステージに移っているんじゃないかなーと。
つまりムダな消費を抑え、モノよりもコトにお金を落とす人が徐々に増えていくと思うんですよね。
なのでただ単にモノを売るよりも、モノを手に入れた先のストーリーをセットにして売らないとダメ…みたいな。
そんな状況の中、企業が金曜日の終業時間を早めて消費を促す「プレミアムフライデー」なんてのが実施されるみたいですが…これ、うまくいくのかなー?
何か見当違いな気もしてるんですけどね(そもそも給料が増えないのに消費が増えるのか?という)。
過去の常識にとらわれず、上手いこと時代の流れに乗っていきたいものですな。
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